暮らしの現場

元住人に再生を託したシェアハウス「ウェル洋光台」。コンセプトは持続可能x多様性

2013/08/07

内田 勉
内田 勉

空想実現家

メディアエンジン有限会社代表。テレビディレクター/プロデューサーとして、報道・情報番組を中心に2500本以上の制作に関わる。現在はテレビ朝日「グッド!モーニング」を担当。約1年前からシェアハウスにハマり、日本初の鉄道模型シェアハウス「ナインステージ」を開設。楽しい「思いつき」を現実にすべく、日々猛進中。https://www.facebook.com/tsutomu.uchida

みなさんは「出戻り」という言葉に、どんなイメージを持っていますか?
恐らくあまり良いイメージを持っていない人が多いのではないでしょうか?

今回は意外で素敵な「出戻り」を実現されたご夫婦を紹介します。

2013年7月7日、横浜市磯子区にあるシェアハウス「ウェル洋光台」の見学会が行われました。

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このハウスの管理人として新たにオーナーから指名されたのが、元住人の戸谷浩隆・朱美夫妻。2006年と比較的早期にオープンしたこのシェアハウスで出会い、結婚を機に卒業した2人。今回、戻るきっかけとなったのが、ハウスのリニューアルだったのです。

実はこの「ウェル洋光台」、オープンしてから時間が経つにつれ、コミュニティが停滞し老朽化が進み、空き室が目立つようになっていました。23部屋のうち9部屋しか今後住み続ける住人がおらず、リビングも閑散とし寂しい状態に。そこでオーナーの増尾さんが、リニューアルを決断。その際、戸谷夫妻に「戻ってきませんか?」と声をかけ、コンセプトの企画者、また管理人として住む事になったのだそうです。

リニューアルにあたって戸谷夫妻が作成したウェル洋光台の新コンセプトは「畑、手仕事、おうちカフェ。ずっと暮らせる国際村」。6月15日にcolishに掲載したところ、たった5日間で200いいね!が付く大反響。9月のオープンまでまだ2ヵ月以上(取材時)もあるのに、8部屋の日本人枠があっという間に埋まってしまったそうです。

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リニューアルの企画、そして管理人をする事になった戸谷浩隆さん、朱美さん夫妻、そしてオーナーの増尾さんに話を聞きました。


夫・戸谷浩隆さんに話を聞きました


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–リニューアルにあたって一番大事にしている事はなんでしょうか?

持ち寄る暮らし、スローな暮らし、ずっと暮らせるという事です。さらに言えば、やりたい人がやりたい事をやりたいだけやるハウス。固定された義務や当番の無いシェアハウス。その為には、多様性が重要だと考えています。


–義務や当番が無いって凄いですね?

ルールがない、というのは人間らしく扱われることにつながっていきます。義務でないから、喜びや感謝が生まれるんです。感謝で結ばれる人間関係を構築したいです。「持ち寄る暮らし」って呼んでるんですが人と人が温かくつながっている昔の良さと現代社会の自由さを同時に実現したいです。仲良くなれば、自然と豊かになります。価値観を共有する事はとても大切に考えています。


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▲見学会で振舞われた朱美さんの手作りスィーツ

–エコも重要な要素なんですか?

内装・外装のデザインを担当してる近藤波美さんがトランジション・タウンという、楽しくつながる身の丈にあった持続可能な社会に移行(トランジション)しようという考え方を紹介して下さいまして、自分たちが考えているものと非常に近いと思い、要素を取り入れています。そもそもシェアハウスに住む事自体が様々な物を共有しているので何もしないでもエコなんです。私はお互いに強制しあうエコが嫌いなので、それぞれらしいエコ、買わないエコ、楽しいエコを目指しています。皆で学びながら「暮らしの手仕事」を自分たちの手に取り戻していく事で、少ない消費で豊かな生活ができると考えています。


–出戻る感想を教えて下さい

ウェル洋光台は、2人の出会いのキッカケとなった大切な場所なんです。そこが空室だらけになっていくのを見て、とても切ない気持ちになりました。これは放置して黙って見ている訳にはいかないと思いました。
それと、昔はできなかった多世代型シェアハウスが今なら出来るのではないかなと、若干リベンジする気持ちもあります。


オーナー・増尾さんに話を聞きました


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–なぜリニューアルを?

戸谷さんには以前住んでいた時から色々運営に協力していただいていました。シェアハウスも安い住居というだけではなくて、少しずつ進化していって、誰とどういう所に住むのかが重要になってきました。様々なコンセプト型のシェアハウスができてくる中で、多世代型がいいのかなと思いました。


–戸谷夫妻に期待する事は何ですか?

多世代型の住み方が出来るんだという事を示していけたら、子育て世代だけでなく若い人も来やすくなるのではと思っています。戸谷さんの生き方を見て共感する人たちが集まってくれると嬉しいですね。


最後に、妻の朱美さんに話を聞きました


–元々、家族で住むのは無理だと思ったのでシェアハウスを出られた訳ですが、今回、家族大歓迎で戻ってこられる事になって驚きはありませんでしたか?

最初はちょっと想像がつかなくて、漠然と難しいんじゃないかと感じました。増尾さんが、子育て世帯が住みやすいように改修等で全面的にサポートすると言ってくれた事、それから、まず週末にお試し居住して、それから判断すればいいよねという話になって一歩踏み出しました。
設備的なものよりは、どちらかというと一緒に住んでくださる方の理解の方が大切かなと思っています。1階を子育て世帯向けフロアにするために、一階に住んでいた方に部屋を移動してもらったりした事を含めて、今住んでいる方達全員の暖かい同意があったからこそ進められたのだと思います。
まだ住み始めてないので、分からない部分もありますが、家族だけだと息が詰まると感じる事もあるので、こうしてまた家族以外の人たちと共に暮らせるのは嬉しいことですね。


–出戻るにあたって、夫婦で意見の違いはあるんですか?

コンセプト資料はほとんど夫が作りました。夫は「ルールを作らないのがルールだ」っていっていますが、実は私は最低限のルールは必要だと思っています。そういう違いも含めて、今後の生活を楽しんでいければと思っています。


取材後記


JR京浜東北線洋光台駅から徒歩3分。ゆるい坂道を登りきったところにあるスカイブルーの建物がウェル洋光台です。駅から歩いて行くと、まるで空に溶け込んだように見えるんですよ!日当りも風通しも良い高台に建ち、ゆったりとした時間が流れる心地よい空間だと思いました。

ウェル洋光台はコンセプトだけではなく、出戻って管理人になる戸谷夫妻の魅力も「売り」になっていくと思います。あくまで僕の独断と偏見ですが、夫の浩隆さんは「シェアハウス原理主義者」。妻の朱美さんは「シェアハウス現実主義者」だと感じました。

ウェル洋光台は9月の正式オープンを目指して、現在改装中です。正式オープン後にまたレポートしたいと考えています。


この記事のポイント

人と人が温かくつながっている昔の良さと現代社会の自由さを同時に実現する「持ち寄る暮らし」

義務でないから、喜びや感謝が生まれる。感謝で結ばれる人間関係を構築したい

「暮らしの手仕事」で、少ない消費で豊かな生活ができる

ライン
DATA

名称   : 畑、手仕事、おやつカフェ。
       ずっと暮らせる国際村。ウェル洋光台

公式HP  : http://well-yokodai.org/
      (新HP作成中)

FBページ : 

所在地  : 〒235-0045
       神奈川県横浜市磯子区洋光台3-30-38

賃料   : 39800円〜44800円

管理費等 : 11000円 ※1

間取り  : 計23室 ※2

居住人数 : 現在11名
       最大22名+α(同居人可のため)

住民構成 : 20代〜30代、米国人2名。
おやつ職人、ヨガインストラクタ、アロマセラピスト、海外研究者、団体職員、市職員、会社員

募集状況

募集中(若干名募集中)


お問い合わせ先

担当者名 戸谷朱美 hirotaka.toya@gmail.com

※1 個室電気代・洗濯代別途。2名居住の場合1万円追加。
※2 和室8帖×12室 洋室8畳×7室 和室5.5畳×2室 洋室5.5畳×2室

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