暮らしの現場

海辺の街のモノづくり集団 SUECCO 地域の人とつながり、暮らす。その魅力とは

2014/02/12

小野 亜希子
小野 亜希子

ファッションデザイナーの卵

フリーで服飾の活動をしながら、服飾を中心としたシェアアトリエirohasoを企画中。“人を繋ぐ”をモットーに、服作り、コーディネート、アレンジ、写真撮影、ライターなどしている。依頼者の思いを受け取り、他の生産者と顔を合わせ、製作のプロセスを大切にした活動を目指している。

「シェアハウスの住人だけで盛り上がるのではなく、周りの人や地域の人も巻き込んで、皆で楽しめる場を作りたい」
私は、そんな思いで自身のシェアハウスについて構想を膨らませる中で、SUECCOの存在を知った。Webデザイン、広告、家具、ファッション等、得意分野を持った人達が集まり、地域の活動を通し、地元の人々との繋がりを作っているモノづくり集団だという。自分の理想とする“周りの人との繋がり”を作っているシェアハウスは、どんな風に生まれ、どんな活動をしているのだろう。そんなことが気になり、インタビューさせて頂くことになった。

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駅を出て、地元の人で賑わうスーパー、カフェ、そして民家の間をくぐり抜け、約10分歩くとSUECCOのシェアハウスはある。都会と違って高い建物がないせいか、突き抜けるような青い空が広く感じた。
海が近い街に似合う、白を基調とした建物は、天井が高く、温かな光が差し込み、とても心地よい空間だ。


青葉台のシェア住居から生まれたSUECCO


「まさか入居したときはこうなるとは思っていなかった」と話す、代表の木村さん。
メンバーの出会いは横浜にあった“ソーシャルアパートメント青葉台”というシェア住居。50世帯が住める家で、Webデザイン、家具づくり、ファッションデザイン等様々な分野でモノづくりしていた人達が偶然集まり、リビングで創作活動をしていた。
もともと、代表の木村さんは、関わっているNPO法人GoodDayの活動で、逗子の海岸清掃や森づくり等を行ってきた。自然と逗子に魅力を感じるようになり、自身の地元も港町で、海が近い場所には愛着があった。GoodDayと、SUECCOの活動、そして逗子で出会う方々を繋げて、なにか形にできるんじゃないかという思いが湧いてきて、メンバーにも話をして、逗子に引っ越すことになった。
現在のシェアハウスは一度の内覧で決まったという。天井が高く、室内のドアもガラス張りで、見通しがいい。ロフト付きで遊び心もある。自然の光がいっぱい差し込むこの家は、クリエイターにとって刺激になる。逗子という限られた場所で、シェアハウスとして使えて、なおかつ、モノづくりするのに絶好の家は、ここを逃したら他にはないんじゃないか。そんな思いはメンバー全員一致ですぐに決まった。

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ゆるやかな空気とスピード感


シェアハウスと言えば、リビングで一緒にご飯を食べる、という風景が連想されるが、SUECCOのシェアハウスでは、メンバーが集まったら、モノづくりの話になることが多い。
「これ、こうしたらいいんじゃない?」「じゃあ下から道具とってくるね!」アイデアが生まれるとすぐに具現化できるスピード感は、カフェ等でミーティングをしていたら出せないもの。生まれたばかりのアイデアはその瞬間、感じたことが、メンバー同士化学反応のようにして膨らんでいく。
これは、同じテーマを持っている人と一緒に住むというシェアハウスの醍醐味なのだろう。

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活動場所としての逗子


インタビューに行ったその日はちょうど、ファッションデザイナーとして独立された伊原さんが自身のブランド「SCRIPT」の展示会を行っていた。このシェアハウスは住む場所であり、働く場所であり、いろんな人を受け入れる場所でもある。外に看板を出していれば、地元の人が興味を持って来てくれることもある。

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「ものづくりをする人にとって、逗子という場所は活動しやすいのだろうか」
ふと疑問を投げかけてみた。
「材料を集めたりというのは、シーズン前に生地のサンプルを見に行き、その場で買うのではなく、後で発注するので、不便に思うことはない。逗子の自然に囲まれているとモチベーションも上がる」
そう伊原さんは話してくれた。
逗子は海のイメージが強いが、江ノ島や、晴れた日には富士山も見える展望台や四季の草花が楽しめる公園もあり、緑にも囲まれている。モノづくりに行き詰まったとしても、すぐ側にそういった自然があると、エネルギーも湧いてくる。

私自身、最初は遠く感じた逗子も、来てみると意外と遠くないと思った。特別な機材を使う為に、都心にあるシェア工房によく行くという、家具づくりをしている靏田さんにとっても、都心まで行くのは苦ではないそうだ。
刺激し合える仲間、創作活動にぴったりの家、そして、逗子での人々の出会い、地域との繋がり。

逗子の街には、長年住んでいる人が多い。それだけ地元に愛着もある。地域のイベントには子供から大人まで幅広い世代の人達が参加する。そういった地元に密着したイベントに参加することで、地域の人達と繋がり、新しい視点やアイデアを得ながらSUECCOは育っている。

suecco8 ▲地域のイベント「浜の芸術祭」の様子

例えばSUECCOが渋谷や新宿にあったら、今のSUECCOらしさが出なくなる気がする。逗子だからこそ、SUECCOがのびのびと活動していけるように思う。いくら便利な道具や環境が都心にあろうとも、それが都心に住む理由にはならない。人の出入りが激しい都心ではなかなか築きにくい関係性だ。

地元の浜辺で開催されるイベント「浜の芸術祭」では、ベンガラ染めという土から生まれた染料でバックにデザインをするというワークショップも行った。初めて聞くような染め物も、皆で楽しむワークショップという形になれば、身近なものになる。

suecco7 ▲ベンガラ染めで鞄に模様の色をつけているところ

モノづくりの楽しさを地域の人と味わう、そこで新しい人との出会いや発見がある、それがまた、さらなる魅力的な商品や企画作りに活かされる。そうやって生まれたものは地域の人達に喜ばれ、役に立つ。SUECCOにはそういったよい循環を生み出す力があるのだと感じた。


終わりに


同じモノづくりのシェアハウスといっても、漫画界でいうトキワ荘のように、切磋琢磨しながらスキルや経験を積んでいくコミュニティとはまた違っていて、その、一つ上のステージという感じがした。
SUECCO独特のゆったりとした雰囲気は、自然に囲まれた逗子だからというだけではなく、メンバーそれぞれが自分らしく純粋にモノづくりを楽しむ心のゆとりと、作りだしたモノを地域の人達と共有できることから生まれているのかもしれない。

suecco6 ▲SUECCOの商品「壁紙ノート」。
他にも「壁紙ピアス」「ハギレ蝶ネクタイ」等がある。これらは捨てられるはずの壁紙のサンプルや服作りの時に集められた生地のサンプルで作られている。素材の特徴を生かした新しい発想の商品は、見ているだけで楽しくなる。


この記事のポイント

刺激し合える仲間、創作活動にぴったりの家、地域との繋がりから生まれるモノづくり

SUECCOにはモノづくりを通して、よい循環を生み出す力がある

ライン
DATA

名称   : SUECCO HOUSE

公式HP  : http://suecco.com/

FBページ : 
https://www.facebook.com/suecco.suecco?fref=ts

所在地  : 神奈川県逗子市

賃料   : 60,000円 ※1

管理費等 : なし

間取り  : 5LDK

居住人数 : 現在 4人/最大 5人

住民構成 : ※2

募集状況

募集中(女性のみ)


お問い合わせ先

担当者名: 木村
info@suecco.com

※1 光熱費4,000円/月 込み、超えた場合は実費負担あり
※2 20代後半〜30代前半
   男女3:1
   Webグラフィックデザイナー、ファッションデザイナー、二級家具製作技能士、ライターなど

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