暮らしを創る人

【後編】「売ったら終わり」の時代は終わり。住み手と共に作るマンション「エコヴィレッジ」

2014/04/17

小原 憲太郎

前編はこちら


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ゲスト:株式会社リブラン 三ツ口拓也さん

北里大学獣医畜産学部を卒業後、米国で農業経験を積み、帰国。農業生産法人を起ち上げ、都内にて農園レストラン及び農業塾の運営を手掛ける。2007年に株式会社リブランに転職し、宣伝部に所属。広報、マーケティング、コミュニティ企画運営を担う。2008年に起ち上げたファンクラブ「エコミックスクラブ」は、1,400名の会員が交流する組織に成長。同社に勤める傍ら、NPO法人緑のカーテン応援団の理事としても活動している。

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聞き手:colish代表 小原憲太郎

大学を卒業してすぐにSNSの事業を起業した後、IT系企業に就職してモバイルサービスの企画・新規事業企画を担当。独立後、Colishの運営とシェアハウスのプロデュース事業を開始。


みんなで育てるマンション


小原
なんでこんなにも住人さん同士のみならず、リブランさんと住人さんの間 に良い関係ができているんですか?とても不思議です。

三ツ口
それは「住宅産業は人間産業」という当社の考え方が大きく関わっています。住宅ってその人の人生を包むもの。住まいはその人の人生を豊かにするものであるべきではないか、という考え方なんです。なので、旧来のような駅距離や価格、最新設備のスペックだけを追求するやり方や、「売ったらそれで終わり」というこれまでのディベロッパーのやり方へのアンチテーゼでもあります。

小原
なるほどそうなんですね。佐竹さんの住むエコヴィレッジ朝霞本町は特にその仲の良さが伝わってきましたが、具体的にどういった取組みをしてきたんですか?

三ツ口
この物件は「育てるマンション」というコンセプトを掲げて住人を募ったことです。今までのように管理会社にお任せ、ではなくて自分たちのマンションを自分たちで育てていく、といった形です。

小原
いいですね。みんな薄々思っていると思うんですよね。管理会社にお任せって楽で摩擦も少ないかもしれないけど、なんだか画一的で味気ない。なにより住人さん同士が笑顔で挨拶したり、時には一緒に遊びに行くような温かみのある関係は生まれませんよね。いつまでも自分のマンションの住人さんかどうかすらわからない。

三ツ口
そうですね。どの物件も共通して取組をしていますが、たとえば入居以前に懇親会を設けて知り合える機会を作ったり、分譲一年目はリブランと管理会社が協力して主導し、年4回のマンション住人全体に向けてのワークショップを開くんです。たとえばハーブの栽培のレクチャーや緑のカーテン作り、樹木の名前プレート作りや無垢材のメンテナンス講習会なんかもやったりします。
他にも、一緒にお米作りをする「リブラン米づくりプロジェクト」というのがあって、エコヴィレッジ住人を中心とするファンクラブ「エコミックスクラブ」のみんなが集まって田植えや稲刈りなんかをしています。

livlan_0202 ▲リブラン米づくりプロジェクト。田植えの様子

小原
いいですね!とても楽しそうで。コーポラティブハウスなどでも掃除や菜園づくり、食事など、何かしら住人同士で行う共同作業、プロジェクトはコミュニティづくりにとても重要な役割を果たしていると聞いています。

三ツ口
そうですね。2年目以降は運営の中心が理事会などのマンション自治中心になって行っていただくので、それまでにマンション内コミュニティをある程度作って、住人さん同士で切り盛りしていける関係を作っています。これまで、落ち葉堆肥を作りたいからとコンポストをマンション内に作った住人さんがいたり、マンションの菜園でで作った野菜をアンドリブランで売れないかな?と持ちかけてくれたこともありました。


住人とディベロッパー・管理会社という関係を越える


小原
とても手間ひまをかけて交流の機会を作られているんですね。この「アンドリブラン」というカフェ・ワークショップ空間も面白い取組ですよね。ほぼ毎日のように何かしらイベントがあって、外部の方はもちろん、エコヴィレッジの住人が色々なところから集まってくる。

三ツ口
はい、実はインタビューを受けていただいたお二人もここでスタッフとして働いてもらってたりするんですよ!ぼくは一応肩書としてここをプロデュースする店長なんですけど、よくみなさんから「こども店長」って呼ばれてます(笑)

小原
こども店長(笑)。住人さんとディベロッパー・管理会社という関係をもはや超えてますね。それこそ友人同士のような。

三ツ口
そうですね。先ほど話に出ました「エコミックスクラブ」では、『心地よい暮らし方を楽しむ』をテーマに、物件を超えてエコヴィレッジ住人同士が交流できる数多くの活動をしています。昨年は、弊社が所有する「妙高リブランの森」という自然豊かな森に遊びに行き、一晩お酒を酌み交わし、テントで寝たりと普段味わえない体験を提供できたと思います。

livlan_0203 ▲「妙高リブランの森」でのキャンプの様子

小原
こうして関わりあうと「管理会社の人」ではなくて一人のひととしてのお付き合いになりますよね。「リブランの人」ではなく「三ツ口さん」といった形で、個人を通して会社と住人さんの間に風通しのいい関係ができているのが感じ取れます。
最後にですが、今後エコヴィレッジで目指している目標などありましたら聞かせてください。

三ツ口
ただ物件を売る、買うという関係に終わらず、色々なシーンで交流し、良好なコミュニティをともに育て、ここに暮らしてよかったと思っていただけるのが一番です。
究極的にはモデルハウスがなくても入居者が決まるような状態にできたらと思っています。住人のみなさんやエコヴィレッジのファンになってくれた方とのコミュニティを通じて、気に入って住んでくださる方が出てきたらとても嬉しいことです。

小原
素晴らしいですね。そうして共感して住み手になった人がまた良質なコミュニティの担い手になっていくわけですね。正直、分譲マンションって売ったら終わり。それ以降は何かやっても儲かるわけではない。そういう風に割り切って終わらせているや、コミュニティづくりを請け負う会社に丸投げするだけのデベロッパーが多い中、こういう血の通った交流、関係づくりを目指しているリブランさんはコミュニティデザイナーといった方が正しいかもしれませんね。新しい時代のマンションコミュニティづくりのあり方を見た気がします。

三ツ口・小原  今日はありがとうございました。


<エコヴィレッジ関連情報>
株式会社リブラン
http://www.livlan.com/

アンドリブラン(カフェ・ワークショップスペース)
http://www.livlan.com/andlivlan/

三ツ口さんに質問!

これまでに影響を受けたコミュニティ
NPO法人緑のカーテン応援団。2003年、板橋区内の小学校での総合的な学習の時間を舞台にツル性植物のゴーヤーなどを窓の外側で育てる「緑のカーテン」に取り組む活動が発端となり、2007年にNPO法人化。楽しみながら体感温度を下げる暮らし方の知恵を、「ニッポンの夏支度」として、企業のCSR活動や各自治体の取組み支援、学校教育などを通じて全国各地に広げる活動を展開している。

行ってみたいコミュニティ
CSA(Community Supported Agriculture)と呼ばれる、農産物の地産地消を通じて消費者と生産者が互いに支え合い、その地域のコミュニティを形成するという事例を見て回りたい。その仕組みを共同住宅の住まい方に採りいれることで、今の社会が抱える課題を解決に導く「これからの住まい方」を世に提案できる予感がします。

聞き手:小原憲太郎が思ったこと

sample-photo 今回やはり驚かされたのは朝霞本町のコミュニティです。
物件は「みんなで育てる」という考え方を最初に共有しているせいか、
104世帯という規模なのにとても自然な自治意識が住人間に根付いて
いるように感じられました。やらされている、とか頑張って自治を
している感じは全くなく、純粋に暮らしを楽しんでいる結果として
良いコミュニティができた、という方がしっくりきます。
また、お話を終えて、ここまでマンション内コミュニティ作りに
熱心に取り組んでいるディベロッパーさんが居たことに驚きと
尊敬の念を覚えました。
特定の魅力的な大家さんやリーダーシップを持った住人さんが
いたからこそできたという特殊な要素があったからではなく、
ディベロッパーさん自身が真面目にこうした共同住宅コミュニティに
向き合い、築き上げているということが今後の日本の集合住宅関係者に
とってもとても明るい材料になっているのではないでしょうか。


この記事のポイント

成功のポイントは「みんなで育てる」コンセプト共有にあり

ともに場を作り上げる機会をつくるのがコミュニティデザイナの仕事

最終的にはモデルルームがなくとも、関わる人を通じて入居してもらえるコミュニティづくりを

小原 憲太郎

colish代表

大学時代に開発したSNSサービスで起業。その後IT企業に就職し、モバイルサービスの企画・新規事業企画を担当。2011年に独立し、コンセプト型シェアハウスのポータルサイト、colish (コリッシュ)http://colish.net を立ち上げる。これまでに、プログラミングを学び合うシェアハウス、英語と日本語を本気で学び合うシェアハウス『家中留学』インドネシア進出支援シェアハウスを立ち上げ、現在はコンセプト型シェアハウスのプロデュース、コンサルティングを行っている。

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