暮らしを創る人

クリエイターとして、ひとりで生きていけるかと思うと怖かった-こひつじ商事藤田社長

2014/01/20

小原 憲太郎

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ゲスト:こひつじ商事株式会社 藤田 毅さん

同社の代表取締役。武蔵野美術大学建築学科を卒業後、工務店から広告関係の会社を経て、独立。2011年12月に「こひつじ商事株式会社」を設立。当初よりシェアハウスの企画運営をはじめる。2013年3月にはインテリアShop「GONGRI」をオープン。モノをつくる。デザインをする。ことを軸にいろんな広がりを模索中。

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聞き手:colish代表 小原憲太郎

大学を卒業してすぐにSNSの事業を起業した後、IT系企業に就職してモバイルサービスの企画・新規事業企画を担当。独立後、Colishの運営とシェアハウスのプロデュース事業を開始。


事業家・クリエイターの職住一体シェアハウス「8-factory」との出会い

小原
こひつじ商事を設立されたのが2010年。どれもとても素敵で気分が上がるシェアハウスが既に14棟、すごいですよね。そもそもシェアハウスを展開されてなぜシェアハウス事業をはじめることになったのですか?

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藤田
きっかけは大学(武蔵野美術大学)時代に遡ります。当時は建築学生がすんなり就職できるような時代ではありませんでした。そもそも就職先も少なく、美大卒業生の6割くらいはどこかの会社の事務職として働いたり、地元に帰って嫁ぐといった感じで結局ものづくりに従事できない人が多かったんです。

小原
そうなんですね。就職氷河期に加えて、そもそも建築やクリエイターの道というのは稼ぐのが簡単ではない部類ですよね。

藤田
そうなんです。社会に出て働くこと自体が難しい。でも自分の思う感性や価値を信じてものづくりをする人として食べて行きたい。そういうはざまにいたと思います。でもちょうど大学を卒業が迫っていた頃、八丁堀にあるとある場所と出会ったことが、今のシェアハウス事業に携わる大きなきっかけとなりました。

小原
どういった場所だったんですか?

藤田
八丁堀にある一軒家で「8-factory(エイトファクトリー)」という場で、「ハチファク」という愛称で呼ばれていました。ハチファクは早稲田大学の建築出身者が中心となり立ちあげた場所で、当時、リノベーション関係者や建築やデザイン関係の仕事をしている社会人、そして大学生などが4~5名出入りして住んでいたんです。8-factoryとその場所に関わることとなり、それをきっかけによく入り浸っていました。僕なりにその活動に共感と可能性を感じていました。それにそんな人たちが集う場所が僕には羨ましくてしょうがなかった!(笑)

小原
そこではどういったことが起こっていたんですか?

藤田
建築関係の仕事をしている人数名で設計事務所を立ちあげて仕事を共有したりしている人や異業種の人もいましたね。私もそこでリノベーションのお仕事を貰ってお手伝いなどもしたことがありました。もちろんイベントやパーティーもたくさんみていました(笑)


ひとりで生きていけないが、関わりあえる人が側にいれば頑張っていける


小原
異世代の「職住一体」のシェアハウスといった感じですね。当時は共同生活、といったほうがしっくり来るかんじでしょうか。ちなみに、そこで得た経験として大きかったものは何ですか?



藤田
2つあります。1つは設計やデザインだけでは全然稼げないということ(笑)、そこには繋がりや付加価値が必要なんだな~と。もう1つは集まって住むということはクリエイターにとってはやはりいい環境だということです。先ほど6割が関係のない道に進むと言いましたが、大学を卒業したら一時的になんのつながりもない状態に放り出されてしまうことが問題じゃないかと思いました。僕自身もそうだったのですが、ひとりで社会に放り出されて、建築や設計を志すクリエイターとして行きていけるかと思うと怖かったです。誰かと一緒にいないと職につけないんじゃないかな、とも思っていましたし、実際にそうでした。
でも、同じ道を目指している人同士、食えないながらに仲間とつながって気持ちを充実させる、仕事を回してもらう、人の輪を広げる。そうしたことをしながら、自分がやりたい道を信じて進みつづけて行けるのでは、と思いました。
これは僕自身の経験ですが、大学入った時も兄弟や友達と、そして卒業してからも友達と住んでましたが、これはその経験から言えることですね。

小原
なるほど。クリエイターに限らず、若い時は「こういう生き方でいいのか」「自分に向いていることはもっとあるのでは?」と思ったりもしますよね。そして身近な人の人生や、ちょっと上の先輩から学ぶ教訓がものすごい大事だったりしますよね。
その後、シェアハウスを事業として始められたのはどういうタイミングだったんですか?


夫婦でコラボ。シェアハウス事業開始のきっかけは妻の仕事から

夏水さん

藤田
妻である坂田夏水がきっかけなんです。彼女とは同じ大学の同級生で、その頃からお付き合いをしていたのですが、先に坂田が「夏水組」というブランドで独立して空間デザインの仕事をしていました。僕も彼女の事業を手伝っていたのですが、坂田がとあるクライアントさんから「シェアハウスをやってみたい」という話をもらったのが始まりです。今では夏水組が設計やデザイン、こひつじ商事が企画・集客・管理運営という形で、夫婦なんだけど別の会社としてタッグを組んでシェアハウス事業に取り組んでいます。

小原
ご夫婦で一緒に事業をなさってるって、とても面白いですね。そしてやっぱり今の仕事に行き着いたのもそういった地続きのご縁なんですね。

藤田
そうなんです。人と会うことで自分の人生の舵を切ったりするタイミングってあると思うんです。なので、家の設計に終わらず、人と人との関係をつくってあげられたらと思います。

小原
素敵ですねそういう互いの人生に関わりあえる関係って。

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藤田
実際、こひつじ商事の物件に住む人には、クリエイターやフリーランスの人も多いんです。独立するきっかけになったりとか、入居者が紹介してくれた誰かと仕事をするとかが起きたらいいですね。はたまた、先輩入居者が結婚したり、楽しそうに子育てをする様子をみて、「いいな」と思えるように価値観が変わったりしたら面白いですね。

小原
いいですね。そういう何かが始まるきっかけにあふれる場というのは。

藤田
はい。でもこういう仕事しているんですが、実は僕めちゃくちゃ人見知りなんですよね(笑)。交流会とか一番だめなタイプですし、仲良くなるのに時間がかかったり。なのでじっくりお付き合いできるシェアハウスはどちらかというと僕に向いていますね。実は、今日普段しないメガネをしてるのもちょっと恥ずかしいからなんですけど(笑)

小原
そうなんですか?でもなんだか納得です(笑)本日はありがとうございました!




「こひつじ商事株式会社」のNEWS
6つのルームシェア、22人で住まう家「Ricca-六花」が武蔵小金井にて2月にオープン。
6つの個性的なタイプのルームシェアが集まった物件。普段は3人から4人のグループで落ち着いた毎日を過ごせて、自分の時間も大切にできる。そして、お隣もみんなルームシェア仲間だから休日はみんなで集まれる。深いお付き合いができるルームシェア、色んな人と関われるシェアハウス。そんな大人数と少人数の良さを兼ね備えた場所です。

Ricca -武蔵小金井-
http://ricca-share.com/

6つのルームシェアが集まり大きな1つのシェアハウスに。「Ricca武蔵小金井」2月オープン
http://lab.colish.net/news/n15/

藤田さんに質問!

これまでに影響を受けたコミュニティ
ひつじ不動産」さんですね。昔からずっと見ていますが、住むこと、働くことのいろいろを考えさせられます。特に大々的に広告したりアピールすることは無いですが、確実に人は集まってくる。
PoRTALなどのコワーキングスペースもそのひとつですが、株式会社ひつじインキュベーション・スクエアの提供するものに集まる人たちにずっと興味を持っています。

「おすすめ or 行ってみたいコミュニティ」
nui」さんですね。
とにかく、楽しそうですね。いつか行ってみたい。出来れば用事もなく連泊したいです。

聞き手:小原憲太郎が思ったこと

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シェアハウス事業に携わる人の多くには、やはり原点となるシェア生活の
経験があるようです。藤田さんもまたその一人でした。
私自身も学生時代に京都や大阪でシェア生活を経験。そのシェアハウスを
通じて出会った仲間と起業をしたりと、人生を大きく変えるきっかけと
なりました。
シェア生活は本当に多くの学びときっかけにあふれています。
そんな学びときっかけをくれるのはやはり同居人の仲間たち。
社会に出た後に「仲間」と呼び合える関係を自然と育める数少ない場所が
シェアハウスにはあります。
シェアハウスはここ数年で相当メディアに取り上げられるように
なりましたが、まだまだ「普通」の選択肢ではありません。
まだ経験をしたことのない方は、肩の力を抜いて飛び込んでみて
欲しいと思います。



この記事のポイント

シェア生活は人生に変化をもたらすきっかけの宝庫

「職住一体シェアハウス」が原点

小原 憲太郎

colish代表

大学時代に開発したSNSサービスで起業。その後IT企業に就職し、モバイルサービスの企画・新規事業企画を担当。2011年に独立し、コンセプト型シェアハウスのポータルサイト、colish (コリッシュ)http://colish.net を立ち上げる。これまでに、プログラミングを学び合うシェアハウス、英語と日本語を本気で学び合うシェアハウス『家中留学』インドネシア進出支援シェアハウスを立ち上げ、現在はコンセプト型シェアハウスのプロデュース、コンサルティングを行っている。

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