暮らしを創る人

【前編】世界初!コミュニティが鍵となる ワイン愛好家のためのアパートメント

2013/06/20

水谷 ともゑ

後編はこちら


暮らしを創る人_ワインアパートメント

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ゲスト:イノーヴ株式会社 奥澤菜採さん

同社の広報・PR担当。環境共生をコンセプトにした住宅シリーズ「エコヴィレッジ」のコミュニティ企画運営、賃貸管理業務を経て、ワインアパートメントhttp://wineapartment.jpを企画・プロデュースする新事業に参画。プライベートでは一児の母。

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聞き手:colish代表 小原憲太郎

大学を卒業してすぐにSNSの事業を起業した後、IT系企業に就職してモバイルサービスの企画・新規事業企画を担当。独立後、colishの運営とシェアハウスのプロデュース事業を開始。


01 ソムリエが管理人! かつてないコンセプトが誕生


小原
2013年秋に渋谷区神泉にオープン予定ですが、フェイスブックのファンページは早くも1万5000以上の「いいね!」を獲得していますね。

奥澤
10階建ての賃貸マンションですが、ソムリエが管理人をするというコンセプトがポイントです。専属のソムリエが入居者の「お抱えソムリエ」としてワインの温度管理や抜栓をしたり相談役になるだけでなく、ホームパーティーのコーディネートからソムリエ主催のワイン会の開催、週末には全入居者にワインサービスをします。

マンションエントランス

小原
ワインを軸にしたコンセプト型集合住宅って、世界でも例がないですよね。

奥澤
そうみたいですね。イギリスのワイン専門誌の取材を皮切りに、世界でも瞬く間にニュースに。先日ロシアの新聞にも取り上げられました(笑)。

小原
発想が生まれたきっかけは?

奥澤
始まりは、社長のワイン好き。社長がパリ帰りの友人と話していて、「ワインを置く場所がなくて困る」「ワインカーヴがあるマンションあったらいいよね」って話になって…。

小原
なるほど。

奥澤
長くマンション管理を営んできた企業なので、マンションのコンセプト作りにあたって、管理人と入居者の関係が重要なキーになると感じていました。これまでの発想からは思いもよらないような人を管理人にしたい。プロフェッショナルな人…。ワインカーヴと結びついて、「ソムリエだ!」となった訳です。

小原
「プライベートソムリエ」の誕生ですね。ワイン好きというニッチな市場を狙った。

奥澤
そのために、仏ボルドー最大級のワイン卸商「BWB」の日本法人を2011年6月に設立し、旗艦店としてワインバー「マックスボルドー六本木」を運営しています。ワインアパートメントでは、「マックスボルドー六本木」のソムリエがプライベートソムリエとなり、ワインライフを全面的にサポートします。ワイン愛好家に満足していただくたくために、まずはワインの会社を立ち上げました。会社として本気です(笑)。

PC017510

小原
卸商もされていると、住人の好みに合わせてボルドーをはじめ、世界中から買い付けや紹介ができるわけですね。それはすごい。


02 住まいを、単なる「ハコ」にしたくない


小原
そこで、他社が真似できない分野に挑んだんですね。「マンション(=ハコ)というハードだけではなく、管理人(=ヒト)というソフトに価値を生み出す」という。

奥澤
ワインアパートメントとは別に、遮音設備を整えた音楽家向けマンション「ミュージション」http://www.musision.jp/を10年ほど程前にプロデュースしたのですが、遮音性能については設備を整えれば作れるので、今では他社でも音楽家をターゲットにした物件が生まれています。「ミュージション」を運営していく中で、住民同士が集まって自然と交流が生まれるような「コミュニティ」の重要性に気づいたのです。

小原
その辺り、もっと聞きたいです。

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奥澤
入居者には、ピアノ教室を開きたい人も、作曲をしたい人も、ハードロックを大音量で聞きたい人もいる。入居者間の関わりを目的としていたのではなく、設備が魅力的で集まった方たちがほとんどだったため、個別で音楽を楽しまれています。コミュニティではなく「ハコ」としての魅力が高いマンションだったんですね。そこで、せっかく音楽を愛する人が集まっているのだから、と入居者コンサートを定期的に実施するなど、コミュニケーションの機会を作ったところ、今までになかった住民同士の繋がりが生まれました。そこに訪れた観客達の口コミで物件の魅力も伝わっていく、豊かな人間関係こそが価値になっていくのだと気づきました。

小原
音楽家同士を繋ぐシカケが必要なんですね。

奥澤
はい。その経験を踏まえて、ワインアパーメントは「単なるハコにしない」がテーマです。もちろん地下カーヴや居室などにワインライフを充実させるハコとしての魅力にはこだわった上で、「心を豊かにする」コミュニティを生み出す鍵が、プライベートソムリエの存在。その道のプロだからこそ生み出せる、ワイン愛好家のライフスタイルを包み込むようなサービスを提供したい。

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プライベートソムリエとなる岩元渉さん

小原
グループ会社としてワイン商社やワインバーを経営されていて、社員にソムリエがいることも強みですよね。

奥澤
「ワインカーヴ付きのマンション」というハコを作ることは他社でもできる。今回は、海外を含む数々のコンクールで優勝・入賞経験を持つソムリエ・石田博さんに総合監修を務めていただいているのも、うちならではですね。

小原
石田さん、魅力的な方ですよね。「このジェントルマン、絶対モテるな」ってかんじ(笑)。

奥澤
監修会議は毎回3時間程ですが、その中でこれでもか!という程アイデアが湧き出て、とてもエキサイティングな体験です。「社長の思い描いた夢を、現実にするのが自分の役割」と、レストランで培われた様々な経験を、ワインアパートメントの現場でのサービスに落とし込んでいただいています。「ここまで真剣に考えてくれるんだ」と感動するほど。ワインへの愛が詰まったコンテンツが誕生しますよ。

小原
例えば、どんな仕掛けを考えているんですか?

奥澤
週末にソムリエから入居者へワインをサービスする「ウィークエンドワインカフェ」を開こうと考えています。ワインを楽しんでいただくことはもちろん、入居者同士が自然と顔を合わせて会話が生まれる機会にもなります。また、ソムリエとは日常的にメールや電話を気軽にできる、友人に近い関係を作れたらと思っています。

小原
なるほど、いわゆる「管理人」的な存在とは完全に一線を画していますね。バーのマスターのように、お客様のことをよく知っている。そんなソムリエが居ることで、自然とほかの入居者のことを知るきっかけになったり、ソムリエを通じてゆるやかなコミュニティが生まれるイメージが湧いてきます。そのほか、ワイン愛好家に喜ばれるサービスとしてはどんなものを考えていますか?

奥澤
グルメなワイン愛好家のために、東京・押上のビストロ「神泉 遠藤利三郎商店」を1階に誘致しました。しかも好みのボトルを持ち込んでいただけます。(※)。
また、同店舗からルームサービスができるので、混んでいて席が取れない日や、ホームパーティーの際にも便利ですね。

小原
ワインにおいしい料理は欠かせませんし、自分の部屋、とビストロのどちらでも楽しめるというのは嬉しいですね。

奥澤
それと、ワイン好きの方と話していて評判がいいのが、パーティーグラスの貸し出しサービスですね。石田博さんのセレクトで、ソムリエコンクールで公式グラスに指定されているワイングラスを、共用物として用意します。一度に数十脚レンタルすることができます。しかも使用後はこちらで洗います!

小原
酔っ払うとグラスって割ってしまいがち。しかも、お客さんが帰った後でワイング。ラスを洗うの、たいへんですもんね…! まさに至れり尽せりですね。

※持ち込みには別途抜栓料が必要になります

後編はこちら


この記事のポイント

ワイン愛好家のためのアパートメントが2013年秋にオープン!

コンセプト型集合住宅の鍵はコミュニティ

「単なるハコにしない」プライベートソムリエのいるアパートメント

水谷 ともゑ

生き方ライター

「人」と「生き方」がテーマ。各界で突き抜けて生きる人へのインタビューを重ねる一方で、次世代の暮らしや社会のあり方を研究。シティリビング名古屋でコラム「愛の処方箋」連載中。 ブログ「30歳からのオンナの生き方道」http://ameblo.jp/tomoemizutani/

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