コラム

多くの人に受け入れられる”シェア型の住まい”。繋がりとコミュニティの視点から分類してみた

2013/09/06

Hagiwara Yuta

column

colishでは今まで、シェアハウスに焦点を当てて、いろんなスタイルで生きる人々同士をかけ合わせる支援をしてきました。ここ2~3年でも、その勢いは衰えることを知らず、ますます「シェア型の住まい」のかたちは多くの人に受け入れられていると思います。
なぜこんなにも「シェア型の住まい」が流行ったのでしょうか。

実際には複数の理由があると考えられますが、本稿ではその一つが「人との繋がり方」や「コミュニティ」にあると着目していきます。
「シェア型の住まい」に対する向き合い方を「コスト重視」タイプ、「縛られたくはないけど、繋がっていたい」タイプ、「この指とまれ」タイプの3つに分けて考察してみたいと思います。


「コスト重視」タイプ


「シェアハウス」の「シェア」とは何を「シェア」していることを意味しているのでしょうか。
最も根本的なものは、もちろんその住居空間です。そして、住居をシェアすると同時に、それに伴う「コスト」(家賃・光熱費など)をシェアしているのであり、それを抑える「金銭面の為」のシェアという意味合いです。

「シェアハウス」以前より普遍的な「シェア型の住まい」の形態としては、「ルームシェア」というスタイルがあります。ある物件を気の知れた友人たちでシェアすることにより、住まいにかける費用を減らす事が可能でした。
しかし、「ルームシェア」の見えない「コスト」とは、自分以外の同居人の事情によって、家賃の増減や解散を強いられることがあったり、新たなルームメイトを自分で探さねばならないというリスクや手間がありました。
また、一般的な引越しにおいては初期費用も大きくかかります。敷金・礼金や、仲介手数料、引越し費用などの費用が生じる上に、生活に必要な家具・家電類や、電気ガス水道、インターネット等の契約手続き等、多くの労力を要します。

近年「シェアハウス」と呼ばれている形態は、それらの手間とリスクをいっぺんに肩代わりしてくれる側面があります。より流動的で、気軽に人々のライフスタイルや思考に合わせて、住まいを変える事を可能にしたという面が大きいのではないでしょうか?
つまり「シェア」によって得られる最大の恩恵は、引越しにかける手間・費用・リスクなどの「コスト削減」と言ってもいいかもしれません。

さて、このような生活にはどのような「人との繋がり」があり得るかというと、非常に様々です。気が合うシェアメイト達とめぐり逢い、快適な生活を送れるかもしれません。しかし、様々な価値観をもった人がひとつ屋根の下に暮らすのですから、そこには衝突もあるかもしれません。衝突とまではいかなくとも、衛生感覚の違いや生活リズムの違いから生じる騒音などに心地よくない思いをすることも少なくありません。いずれにせよ、多少のストレスはやむを得ないかもしれません。自分もなるべく他の人に迷惑にならないように行動し、他の人にもそう心がけて過ごして欲しいと思います。結局のところ、「人との繋がり」においては「挨拶くらいはするし、それなりに仲の良い人が数人いるという関係が偏在的に成り立つ繋がり」が平均値かもしれません。


「縛られたくはないけど、繋がっていたい」タイプ


これは、もう少しインタラクティブな人間関係を前提とした人たちやシェアハウスのタイプです。
多くのシェアハウスには自分の個室があります。誰かと話したい気分の時は共有のリビングで会話をしたりテレビを見たり、そうではない時は互いに干渉はせずに、プライバシーを保つ事で、人々の間では心地良い距離感が保てているようです。
そのような環境下で、特定の気が合う住人がみつかれば、一緒に遊びに行ったり、料理を作りあったり、または、シェアハウス内で特定の活動のサークルのようなものができたり、というような事が起きます。これらは自然発生的で、且つ、オープンである性質があるように見受けられます。なんとなくつながった輪の中に、更に外部から自分の友人を招いて紹介し、その輪を更に多様化できるなど、新しいつながりが起きる面白さがあります。
これは今までの「定型で柔軟性のないコミュニティ」(例えば、会社の飲み会というと会社の人しか来ないという固定的な関係性)ではなかなか起こりづらかった現象です。友達の友達が友達になっていくおもしろさや、オープンさがあります。お互いの人的リソースを自然に「シェア」できることや、いつでも心地良い人間関係を取捨選択できるのも特徴です。気が向いたときに顔を出す、なんとなくフェードアウトするということも違和感がありません。
偶発的な出会いや、出来事のおもしろさを享受しつつも、しがらみからはフリーであるこのスタイルが多くの人の感覚にマッチしているのだと考えられます。

このような程よい関係ができやすい条件としては、物件、家賃、立地等に一定の特徴や味わいがあることが大きい要素になっているようです。実際には何を基準として物件を選ぶかは人によりますが、それでも、その物件のもつ特徴やコンセプトが「感覚的なフィルター」として機能し、ある一定の層・タイプの人が集まりやすくなります。例えば、最も代表的なのはリビングルームなどの共有部のデザインや特徴です。人々の交流の様子や過ごし方を想像しやすいので、結果として、上記のような人間関係や繋がりが構築されやすくなるのではないでしょうか。


「この指とーまれっ!」タイプ


一方で、ユニークな切り口で「シェア型の住まい」を始める人が徐々に増え始めています。それはcolishにも多数投稿されているような特定の「コンセプト型」のシェアハウスや、他には無い「前面に打ち出した特徴」などがあり、それに賛同した人のみで構成されています。このようにして集まった結果、単なるシェアハウスとは一味違ったコミュニティが形成されているのです。
このような住まいの特徴は「◯◯な人、一緒に住みましょう!」と打ち出すことによって、「お互いがなぜ一緒に住んでいるかが明確」になることです。
どのように繋がり、付き合っていくべきなのかが比較的明白なので、「誰とでも深く関わりやすい関係」になりやすく、濃いコミュニティが築かれやすいのでしょう。

僕自身、「家中留学」というコンセプトの名のもと、「英語を学びたい人 × 日本語を学びたい外国人で語学や文化の為に住まう」というシェアの暮らしを始めてみました。
これまでに、多くの「シェア型の住まい」と言える住居形態を経験してきましたが、ここでは非常にこれまでの経験とは違ったコミュニティ感が形成されていると思います。それは、各メンバーが持つ、他の住人のメンバーに対する態度が、とても好意的な点だと言えると思います。

それを、他の様々な濃いコミュニティも参考にして、具体的に以下の3つの要素に分類してみました。

■安心感
もともと知らない人同士が集まったにしては、眼に見えない安心感が共通して見られます。
例えば、盗まれてもおかしくないモノを放置しても盗難が起きづらいことや、外出時も部屋に鍵をかけてない感覚です。
シェアハウスはメンバーの入れ替わりによって、大きく雰囲気が変わることもありますが、こういった感覚はその家の中に保たれやすいのも特徴です。「シェアハウス」にしては、友人同士で始める「ルームシェア」で成り立つ種類の安心感を保てています。

■帰属感
自分がこのコミュニティの一員であるという意識や、どうしたらより良くできるかという感覚の平均値が非常に高いと言えます。例えば、家中留学の場合、「どうやったらお互いの言語力を成長させることができるのか」など、何かのトピックについて話し込むことも少なくありません。また、コンセプトによっては、家に「文化」が成り立ち始めます。
共通の行動規範や意識が、その場に対する帰属感を醸成しやすくしているのでしょう。

■相互扶助
助け合いが頻繁に見られます。シェアハウスの成り立ちの関係上、自分が他のメンバーに対して、どう役に立てるかという仕組みが比較的わかりやすい為です。再び家中留学の場合だと、僕の場合は日本語を勉強している外国人のメンバーには、いつでも日本語に対するヘルプで貢献できるという立場が明確です。
このように、自分の役割や他の住人に何をもたらすことができるか明確な構造があると、助け合いやギブ・アンド・テイクが発生しやすいと言えるでしょう。

以上に加えて、コンセプトが外部(住民以外)に対しても関わりを持ちやすいものについては、住人間にとどまらず、色々な人を巻き込んで活発なアクティビティを生みやすいです。人・情報・刺激といったものが家というハコの中で、行き交うとは興味深いですね。


最後に


このように、「シェア型の住まい」の中でも「人との繋がり方」は温度感や形態も様々あることがわかります。まだまだ少数ではありますが、金銭面における「シェア」とは全く違うアプローチで、新しい「シェア型の住まい」の在り方を示唆する例も、徐々に増加してきています。

人々が住まいを選ぶ際に、「家賃・立地・物件」だけでなく、「人」や「コンセプト」のような非定量的で、目に見えないものが並列して考えられるようになったら、「住まい」が持つ可能性は大きく拡がるのではないでしょうか?まだまだ現実的に実現が難しい面もありますが、このような住まいのスタイルが定着すれば、社会はとてもおもしろい様相になっているだろうなとわくわくしています。


この記事のポイント

一口に「シェア」ハウスと言えども、「シェア」の在り方は様々であること

住まいに何を吹き込むかにより、中の「人との繋がり」方が大きく変わること

Hagiwara Yuta

LOCALIFEの中の人

学生時代に短期含め5度のアジア留学を経験。その間、多数のシェアを含む様々な住まいのスタイルを経験し、独特の心地よさ・充実感を覚える。帰国後、日常生活に更なる彩りを、と、言語の学習の面から追求し「家中留学」を企画・運営。現在は世界の旅行者がホームステイする異文化交流シェアハウス「LOCALIFE新宿」を運営中。

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